2026年6月3日 木田国際税理士事務所 代表 税理士 木田穣
2026年初頭、NVIDIAのCEO・ジェンスン・ファン氏のある発言が大きな話題を呼びました。カリフォルニア州で本気で議論が進む「ビリオネア税」に対し、「一度も気にしたことがない。完全に問題ない」と発言したのです。その一方で、多くのビリオネアが課税基準日前に州外へ転出したことも報じられています。本記事では、日米で同時進行する富裕層課税強化の動きを、木田国際税務会計事務所 代表税理士・木田穣が解説します。
正式名称「2026年ビリオネア税法」は、2026年11月3日のカリフォルニア州民投票にかけられる予定の制度です。
・対象:カリフォルニア州に居住する純資産10億ドル(約1,500億円超)以上の個人。州内に約200名いるとされる
・税率:純資産に対して一回限りの5%(ファン氏の場合は約80億ドル=約1兆円超の税額に相当)
・課税基準日:2026年1月1日時点でカリフォルニアに住んでいたかどうか
この制度の最大の特徴は「所得(フロー)」ではなく「資産そのもの(ストック)」への課税である点です。課税基準日前に、Google共同創業者のラリー・ペイジ氏・セルゲイ・ブリン氏、映画監督スティーブン・スピルバーグ氏を含む少なくとも6名のビリオネアが州外に転出したと報じられています。6名だけで想定税収の約4分の1が失われるとの見方もあります。
実は日本でも、よく似た発想の制度がすでに動き出しています。それが「ミニマムタックス」です。
日本の「1億円の壁」とは何か
これまで日本では、所得が1億円を超えると税負担率が逆に下がる「逆転現象」がありました。
・給与所得:累進課税で最大45%
・株式の譲渡益・配当:合計約20.315%の分離課税
金融所得の比率が高くなるほど実質的な税率が下がるため、超高所得者ほど税負担率が低くなる現象が起きていました。ミニマムタックスはこの「1億円の壁」を是正することを目的としています。
現行ルールと今後の強化スケジュール
・2025年分の所得から適用開始(2026年3月の確定申告から追加納税が発生)
・2027年分の所得から強化(令和8年度税制改正大綱):控除額を3.3億円から1.65億円へ半減、税率を22.5%から30%へ引き上げ
これにより、対象者の数と追加税額が現状から大きく拡大する見込みです。
共通している発想:「金融所得に偏った富裕層の実効税率が給与所得者より低くなっている、これを是正する」という問題意識は日本もアメリカも同じ方向です。
異なる設計思想:カリフォルニアのビリオネア税は「資産そのもの(ストック)」への課税。日本のミニマムタックスは「所得(フロー)」への追加課税という違いがあります。
日本でも戦後まもなく「財産税」という形でストックへの課税が実施されたことがありますが、現代のアメリカで議論されていることは注目に値します。
多額の金融資産を保有する富裕層への課税強化は、日本だけでなく世界的なトレンドです。特にM&Aや会社売却を控えている方は、移住タイミングと組み合わせたタックスプランニングを今すぐ検討することをお勧めします。2027年以降のミニマムタックス強化を見据えると、対策できるウィンドウは限られています。
木田国際税務会計事務所では、M&Aと海外移住を組み合わせたタックスプランニングに豊富な実績があります。
料金:1時間 44,000円(税込)
お問い合わせ:kida@wbj-tax.com
TEL:03-5843-5949
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