2026年6月3日 木田国際税理士事務所 代表 税理士 木田穣
かつて「クリプト(仮想通貨)の聖地」や「リタイア後の税金天国」として世界の富裕層を惹きつけてきたポルトガル。しかし2023〜2024年の制度改正により、その位置付けは大きく変わりました。本記事では、2026年時点のポルトガルの税制・ビザ制度の最新情報を、木田国際税務会計事務所 代表税理士・木田穣が解説します。
2025〜2026年にかけて、ポルトガルへの移住希望者の顔ぶれに変化が起きています。従来の英国・北欧のリタイア層に加えて、「北米のテック経営者」と「アジアの教育移住層」が増えています。なぜ彼らはドバイやシンガポールではなくポルトガルを選ぶのか、理由は3つです。
・欧州居住権の足場(プランB):投資ファンドへの投資により、わずか年7日ほどの滞在でポルトガルの居住権を確保でき、シェンゲン圏内を90日まで自由に移動できる
・生活の質(QOL)の高さ:歴史・文化・温暖な気候が融合した「人間らしい生活環境」
・地政学的な安全性:NATO加盟国として安全保障が確保されており、ウクライナ・中東情勢から物理的に距離を置ける
・アクセス:日本からは欧州経由で約16〜20時間
・通貨:ユーロ(物価は上昇傾向だが西欧諸国の中では安い水準。円安ユーロ高の影響に注意)
・言語:公用語はポルトガル語だが、欧州で最も英語が通じる国の一つ
・治安:世界平和度指数2025年版で世界7位(日本12位よりも上位)
旧NHR(非常住居住者制度)は2024年に廃止され、現在は「新・外国人優遇制度(IFICI、通称NHR 2.0)」に移行しています。
旧NHRとの最大の違い:旧NHRは10年間、海外所得をほぼ非課税にする強力な制度でした。現行のIFICIは科学研究・イノベーション・高付加価値活動に従事する高度専門職に対象を絞っています。退職者や金融資産の運用益を主な収入源とする受動的投資家は対象外となりました。
ポルトガルで税務居住者になった場合(183日超滞在等):
・配当・利子・キャピタルゲイン:原則28%の分離課税
・日本の約20.315%と比較すると約7%の追加税負担
仮想通貨(クリプト)課税(2023年以降):
・保有期間365日未満の売却益:一律28%課税
・保有期間365日以上の売却益:原則として非課税
・ステーキング報酬・レンディング利息:保有期間に関わらず28%課税
ポルトガルのゴールデンビザの最大の変化は、2023年10月に不動産購入によるビザ取得が廃止されたことです。現在の主流は「投資ファンドへの50万ユーロ以上の投資」です。
・投資額:50万ユーロ〜(円安の影響で円建てでは約8,500万〜9,000万円相当)
・滞在要件:1年目7日、2年目以降は2年で14日(年平均7日)。日本にいながら居住権を維持可能
・永住権取得:5年で取得可能(ただし他のEU国での居住・就労権は含まれない)
・市民権取得:実務上は10〜12年計画。市民権取得でEU全域での居住・就労の自由が得られる
ポルトガルは、かつての「節税天国」という位置付けから、「欧州の居住権・市民権を確保するための長期的な拠点」へと変わりました。年間183日未満の欧州滞在を想定する富裕層や、お子さんが欧州で学んでいるご家族には、引き続き有力な選択肢です。ただし183日を超えた場合の課税(28%)には注意が必要です。
木田国際税務会計事務所では、ポルトガルの現地専門家やファンドマネージャーと連携し、日本の出国税対策から投資ファンドの選定までワンストップでご提供しています。
料金:1時間 44,000円(税込)
お問い合わせ:kida@wbj-tax.com
TEL:03-5843-5949
公式サイト:https://www.wbj-tax.com/
海外移住特設サイト:https://kaigai.wbj-tax.com/