東南アジアからドバイへ移住し、多国籍な環境での生活を楽しんでいるSさん。
今回は、実際に住んでみたからこそ分かる、ドバイのリアルな暮らしについて伺いました。
家探しの工夫、医療事情、そして驚くほど便利なデジタル社会の仕組みなど、移住者としての視点で語っていただきます。
木田: ドバイの住宅環境について、実際に住んでみてどう感じましたか?
Sさん: 選択肢がとにかく豊富で、自分のライフスタイルに合わせた家選びができるのが特徴ですね。私たちは静かな環境を求めて一戸建てを選びましたが、中心部には高層マンション、利便性の高いサービスアパートメントも多く、単身者からファミリーまで幅広い層に対応しています。
木田: 一戸建てというと高額なイメージですが、家賃の相場はどうでしたか?
Sさん: 立地によりますね。確かに中心部は高額ですが、郊外に行けば比較的手頃な物件もあります。家の広さや設備によって価格が大きく変わるので、優先順位を決めて探すのがポイントです。
木田: 住宅街でのご近所付き合いはいかがでしたか?
Sさん: 日本とは全く違いますね。とにかく多国籍で、日本人はほとんど見かけません。私の周りはインド人、イギリス人、ロシア人の方が多く、それぞれの文化が入り混じっていて面白いですよ。
たとえば、ある日突然ご近所さんから本場のインドカレーを大量にいただいたり(笑)。最初は戸惑いましたが、異文化を楽しむ気持ちがあればすぐに馴染めます。
木田: 逆に、文化の違いで困ったことは?
Sさん: 一度だけ、近くの豪邸で夜中までパーティーが続いて、騒音に悩まされたことがありました。でも、ドバイはデジタル行政が進んでいるので、専用アプリで「騒音がうるさい」と通報すると、すぐに対応してくれました。こういう点は本当に便利ですね。
木田: 海外での医療は不安要素の一つですが、ドバイの病院事情はどうでしたか?
Sさん: すごく充実していて、想像以上に安心感がありました。移住直後の1年は日本の海外旅行保険に加入していましたが、2年目からは基本的に自費で受診しています。
木田: 自費での医療費は高い印象ですが、どのくらいかかるのでしょうか?
Sさん: 診察料は1回あたり約2万円ですね。お薬代は別途ですが、軽い病気であればそこまで負担にはなりません。
ただし、入院や手術となると話は別で、かなりの高額になる可能性があるので、万が一に備えて保険の加入は検討すべきです。
木田: 出産もドバイで経験されたそうですが、費用はどうでしたか?
Sさん: 無痛分娩を選びましたが、日本と比べてもそれほど高額には感じませんでした。ドバイでは、入院は基本的に1泊のみで、翌日には退院するのが一般的なんです。医療水準も高く、安心して出産できました。
木田: ドバイは世界でも有数のデジタル化が進んだ都市と聞きますが、具体的にどのような点が便利でしたか?
Sさん: とにかく「すべてアプリで完結する」ことですね。たとえば、行政手続きの申請、病院の予約、事故報告、さらにはゴミ収集の依頼まで、ほぼ全てがスマホで済みます。
役所に出向くことはほぼありません。車社会ですが、ガソリンもスマホで頼むと家までガソリンを入れにきてくれるサービスもあります。
木田: そんなに便利なのですね!逆に、デジタル化が進みすぎて困ったことはありますか?
Sさん: アプリの種類が多すぎて、どれを使えばいいのか最初は混乱しました(笑)。でも、一度慣れてしまえば、もはや紙の手続きには戻れませんね。
第4回では、「これから海外移住を考えている方へ」と題して、インターナショナルスクールの選び方や教育事情、医療の選択肢など、移住前に知っておきたいポイントを詳しくお伝えします。お楽しみに!
4人家族で海外移住を経験し、現在はドバイ在住。
これまで東南アジア・タイと中東ドバイで生活し、現地での子育てを実践。
多国籍な環境の中での暮らしや教育に精通している。